甘酒祭7:埼玉県南埼玉郡宮代町の東粂原鷲宮神社の甘酒祭り(おびしゃ・くにちさい)

東粂原鷲宮神社の甘酒祭

甘酒との所縁

東粂原鷲宮神社は、旧久米原村に二社あった鷲宮神社の一社で、御祭神は天穂日命(あめのほひのみこと)と宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)です。東粂原鷲宮神社の獅子舞

当社の脇には鎌倉・室町時代からある奥州に続く道『鎌倉街道』が通っており、1745年(延享2年)頃から始まった獅子舞(毎年7月16日)が有名だったそうですが、10年前から獅子舞は舞われなくなり、現在は神社に獅子舞を飾り、式典を執り行うのみとなっているそうです。

 

当社の甘酒祭りの起源は不明ですが、地元の収穫感謝祭として行われているお祭りです。祭りの名前は、『おびしゃ』または10月9日に行われることから『九日祭(くにちさい)』と呼ばれています。

東粂原鷲宮神社の過去の甘酒祭り祭りに用いられる甘酒は3年前まではハンギリ(半切り)という桶に麹から甘酒を造っていたそうなのですが、今は買ってきた甘酒を用いて甘酒祭を執り行っています。10年前の平成20年の九日祭、13年前の平成17年の甘酒祭と書かれた資料を拝見させていただきました。※撮影は氏子総代さんに許可を頂きました。

式典は10:00から執り行い、それから氏子さん達で直会を行い、12:00から参拝者の方に甘酒を振舞うという流れで進んでいきます。

同地区では同日に、1.5キロ離れた西粂原鷲宮神社でも甘酒祭りが執り行われており、こちらでは、初穂の米で造る甘酒造りが、地元の方が当番制で担当し継承しています。

 

東粂原鷲宮神社の甘酒祭りの感想

東粂原鷲宮の鳥居本日は2018年10月9日(火)で、雲がほとんど見られない気持ちの良い秋晴れ…空気は涼しさがあるが、日差しが強く、日向では暑い日でした。この時期には珍しくツクツクボウシがまだ鳴いており、まだ夏の余韻を感じることができました。

当社は、西粂原鷲宮神社の氏子さんの斎藤さんのご厚意で宮代町を案内していただいた折に寄らせて頂きました。しかし、西粂原鷲宮神社の甘酒祭りと同日開催であるらしい…という開催時間もわからず情報があやふやな状態でしたが、到着した時は非常に運が良く、式典開始の20分前でした!

東粂原鷲宮の祭壇の甘酒

式典は10:00から20分間執り行われ、甘酒は祭壇の真ん中に日本酒の一升瓶二本に挟まれる形で供えられていました。瓶には張り紙で『甘酒』と記載されています。式典の際の祭りの名前は『九日祭(くにちさい)』と述べられていました。

東粂原鷲宮神社の甘酒

式典後に、氏子さん達は神主さんと共に神社横の集会場にて直会を行い、12:00から一般の参拝客に甘酒の振舞いが行われました。

甘酒は酒粕の甘酒のようで、仄かに酒粕のアルコールの香気があり、塩はあまり加えられていないのか、その甘さはパッと強く、コクはあまりない飲み口でした。

 

甘酒を飲み、お食事を頂きながら、昔は御椀で10杯飲む方もいる程に人気だった事、甘酒を造る時に使っていたハンギリという桶の事、同地区の当番制の事、そして今は農家が減ってしまい祭りに関心の薄い方が増えてしまった事、そんな話を地域の方たちから聞くことができました。

収穫祭とはつまり日本の農業や漁業に根差した感謝祭であり、農村から若い方が居なくなり、高齢者が増え、農業の担い手が減り続けている現状が、祭りにも反映されているのを強く感じた甘酒祭でした。

余談となりますが、東粂原鷲宮神社の獅子舞はその飾りつけも含めて、群馬県前橋市の月田近戸神社で見た獅子舞『月田のささら』にそっくりでした。近戸神社の側を流れる粕川は利根川の源流で、もしかしたら獅子舞の文化も利根川流域を中心に伝わっていったものなのかな…と感じました。

 

甘酒祭りの情報

開催日:10月9日10時から開催(甘酒振舞いは式典後の12:00ごろから)に開催

最寄り駅:東武スカイツリーラインの和戸駅から徒歩13分

住所:埼玉県南埼玉郡宮代町東粂原367

宮代町HP:http://www.town.miyashiro.lg.jp/0000002578.html